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ブラックフェイスって何でだめなの?

by 斉藤のどか

ブラックフェイス(黒塗り)の起源は、ミンストレル・ショーにあります。白人の芸人が顔を黒く塗って黒人を演じ、コメディーとして楽しまれていました。コメディーと言っても、これは黒人からしてみたら非常に屈辱的な内容でした。「無知で、野蛮で、汚くて、不器用」といったステレオタイプを誇張して、それを笑いにしていたのです。

ここで、黒人が受けた人種差別をしっかりと思い出してください。強制的に母国から引き離され、奴隷として売買される。自由も、人権も、自分の文化やアイデンティティーもすべてむしり取られてしまう。その理由が、黒人だから。同じ人間なのに、肌の色だけで劣等と決めつけられ、人間以下の存在として扱われたのです。その傷は未だに癒えていませんし、いまでも人種差別は大きな問題です。

ブラックフェイスはその悲惨な人種差別を象徴するものとして認識されています。ナチス時代を象徴する鉤十字の使用がタブーとされるように、ブラックフェイスもタブーとなっているんです。

私はブラックフェイスを使った浜田さんやそのギャグを見て笑った方達が人種差別主義者だ、と言っているわけではありません。エディーマーフィーのモノマネをするのは差別的だ、と言っているわけでもありません。人種差別の象徴として世界的にタブー視されているブラックフェイスを、お笑いのネタに使うことに対して悲しさを感じたのです。

私のつぶやきに対して、本当にさまざまな意見が寄せられました。特に多かった意見について、私の考えを書きたいと思います。

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黒人の真似をしちゃダメなのか?
-> 日本人がアフリカ系の人のモノマネをすることは全く問題ないと思います。問題なのはブラックフェイスという行為です。渡辺直美さんはビヨンセのモノマネで大ヒットしています。でも、肌を黒く塗っていませんよね?ビヨンセの動きや音楽、洋服や表情を使ってモノマネをしています。同じことがガキの使いでもできたはずです。

別にいいんじゃない?
-> 黒人をバカにしたわけではない、ただエディー・マーフィーのモノマネをしただけだ、衣装として使っているだけだ、オマージュ作品だ、アメリカンポリスからの流れだから、過剰反応しすぎ…… いろいろな理由で「別にいい」という意見がありました。でも目的がなんであろうと、ブラックフェイスが人種差別を象徴するものであることに変わりはありません。例えば、海外ではこのような衣装も大きな批判を浴びています:

白人俳優が、ブラックフェイスを使ってドラマの登場人物の仮装をした時の写真です。この俳優はドラマと登場人物、それを演じる俳優の大ファンだからハロウィンで仮装しようと思ったそうです。人種差別の歴史やブラックフェイスを全く知らない人からみたら、全く問題のないものです。でも、人種差別の歴史やブラックフェイスを知っている人からみたら、特にその被害を受けた側からみたら、非常に侮辱的なものなのです。

日本ならいいんじゃない?
-> アフリカの人を奴隷として売買したわけではない日本なら問題ないという考えもわかります。でも、グローバル化した社会で、「日本だから」という理由は残念ながら通用しないと思います。日本にもアフリカ系の人が大勢住んでいて、彼らも日本の番組を見ています。実際、私がツイートした内容も、日本で番組を見て失望したアフリカ系の方のつぶやきを引用したものでした。また、日本は2年後にオリンピックを控えてます。その招致のとき、滝川クリスタルさんが日本のおもてなしの精神をアピールしていましたよね。本当に世界に誇れるおもてなしの精神を持っているなら、世界で通用する最低限のマナーや知識を身につけることが必要ではないでしょうか。

このネタを差別的だと捉えることこそ、差別的だ
-> 「顔を黒く塗ることが差別だと感じるならそれ黒い顔自体を侮蔑してる」「黒人に対して可愛そうだとでも思った時点であなたは黒人に対して差別的思考を持っている」というような意見が多くありました。私はこれは違うと思います。「顔を黒く塗るのはだめだ」と私が勝手に決めているわけではありません。歴史的事実に基づいて、ブラックフェイスは人種差別の象徴だと実際に人種差別の被害を受けた方々が訴えています。当事者が嫌だと言っているのです。そしてそれを目の当たりにしたのに、何も言わない方が差別を助長すると思います。人種差別に限らず、差別を受けている人は少数派であることがほとんどです。彼らの力だけで差別をなくすのは人数的に非常に困難です。だからこそ、差別を受けていないマジョリティーの人も一緒に声をあげないといけないと思います。

知らなかった
-> 知らなかったなら仕方ありません。私だって、知らずに差別的な表現を使ってしまったり相手を傷つけてしまったことは何度もあります。でも、知らなかっただけで終わらせるのではなく、それをきっかけに調べてみて勉強してみることが大切だと思います。その上で自分がどう対応していくか決めればいいと思います。

そんなことを言い始めたら表現の自由がなくなるのでは?
-> 自由には責任が伴います。表現の自由が犯されることは決してあってはなりません。同時に、自由があるから何を言ってもOKというわけにもいきません。人を傷つけたり脅したり、嫌な想いをさせるようなことを言わないのは表現の自由を使ううえでの責任だと思います。もちろん「この程度ならOK」という線引きは非常に難しくて、どんなに大丈夫だろうと思ったことでも嫌がる人は出てきます。大切なのは、嫌がる人が出たときに、その人の気持ちや嫌がる理由に耳を傾けることだと思います。

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繰り返しになりますが、ブラックフェイスは人種差別を象徴するものです。ブラックフェイスを使うことで多くの人が嫌な想いをすることはしっかりと理解するべきです。どんなに悪気がなくても、ただのジョークでも、敬意を表するためでも、嫌な想いをする人がいるんです。それほどブラックフェイスが象徴する歴史は残虐なものなんです。

【参考】
Huffington Post: Here's a Reminder Not to Wear Blackface This Halloween (Or Ever)



斉藤のどか
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