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2017年はこんな年だった

by 斉藤のどか (Nodoka Saito)

2017年も今日で終わり。日本では、今年の漢字に一般公募でもっとも票の多かった「北」が選ばれました。北朝鮮問題への不安や関心が現れた結果でしょう。流行語大賞を受賞したのは「インスタ映え」と「忖度」。若者の流行と、政治界の問題で頻繁に使われた言葉が選ばれました。海外でも、今年を象徴する言葉が発表されています。今日は私が目にした3つの言葉を紹介しながら、2017年を振り返りたいと思います。

オックスフォード英語辞典:youthquake

この言葉は1965年に造語されましたが、2017年は前年比で5倍も利用回数が増えたそうです。その背景にあるのは、6月8日投票のイギリス総選挙です。メイ首相の率いる保守党が確実に票を伸ばせるというタイミングを狙って議会を解散したものの、結果は12議席減。反対にジェレミー・コービン氏が率いる労働党が30議席増の躍進を勝ち取りました。18〜29歳の若者では60%を超える人が労働党に投票。30〜39歳の人たちも55%の人が労働党に一票を投じました。それまであまり政治に関心を持たなかった世代が立ち上がり、大きな変化を生み出したことに専門家も注目。「今後選挙結果を左右するのは階級ではなく年齢なのか?」という議論がさかんに行われました。

イギリス国外の政治状況を表す際にも、youthquakeという言葉が盛んに使われました。フランスの国民戦線の躍進。ロシアでの反プーチンデモ。オーストラリアでの同性婚の合法化を決める国民選挙。世界中で若者が政治を動かした一年といえるでしょう。

ちなみに、日本の政治状況に対してyouthquakeという言葉が使われているかどうか調べてみましたが、特に見当たりませんでした。来年は9条や立憲民主主義に関連するyoutuquakeが起こる(起こせる)ことを願っています。

メリアム=ウェブスター辞典:feminism

アメリカで刊行されているメリアム=ウェブスター辞典が選んだ2017年の言葉はfeminism。ひとつの出来事がきっかけで注目を浴びたのではなく、あらゆる出来事に対して頻繁に使われ、多くの人の関心を集めました。まず、1月21-22日にワシントンD.C.を中心にアメリカ全土で開催された「ウィメンズマーチ」。中絶をする権利を否定し、女性に対する誹謗中傷やセクハラが大きな問題となったトランプ大統領へのデモ更新として、就任直後に開催されました。

2月にはアメリカ大統領顧問のケリーアン・コンウェイ氏が「私は古典的な意味でのフェミニストではない」と発言し、feminismの定義自体も激しく議論されました。コンウェイ氏は発言の理由について、「男性を敵視していて、中絶を推進しすぎている」と説明し、「私は保守的なフェミニスト」と付け加えました。

ちなみに、メリアム=ウェブスター辞典に載っている定義は「1.政治、経済、社会における両性の平等の理論。2.女性の権利や利益のための組織的な行動」です。個人的には、「両性の平等」という部分がものすごく大切だと思います。Feminismは女性のものだけではなく、男性のものでもあります。女性が会社でバリバリ働くのが当たり前になるのと同時に、男性が家庭で活躍するのが当たり前にならなければなりません。

ツィッターで大きな動きとなった #MeToo も2017年のfeminismを語る上では欠かせません。この爆発的な動きのきっかけになったのが、10月5日にニューヨークタイムズ紙に掲載された記事でした。多くの著名な女優が、映画プロデューサーのハーヴィー・ワインスタイン氏からセクハラを受けたと証言したものでした。この記事は大きな反響を呼び、エンターテインメントやビジネス、政治などあらゆる業界に携わる女性からセクハラや性的暴行、強姦の被害を受けた体験談が発信されました。10月16日、女優のアリッサ・ミラノさんが「友達が提案していました。『セクハラや性的暴行を受けた全ての女性が、Me too(私も)といえば、これがどれほど大きな問題か明らかになる。』セクハラや性的暴行を受けたことがある人は Me tooと書いてこのツイートにリプライしてください」とツイッターでつぶやきました。これをきっかけに、#MeTooが一気に使われるようになりました。

日本でも著名なブロガーの発信をきっかけに、「私も」と過去に受けた性被害を告白する人が増えました。伊藤詩織さんの勇気ある記者会見も日本社会の性犯罪にスポットライトをあてるきっかけとなりました。私は自分の#MeToo話を公開していません。どう言葉にすればいいのかわからないんです。ツイッターで#MeTooを使って簡潔に、でも力強く過去の経験や今の思いを発信する人たちは本当にすごいなと思います。時間をかけて考えをブログにまとめて、公開したいです。

dictionary.com: complicit

オンライン辞書のdictionary.com が選んだ今年の言葉は complicit。加担、または共謀するという意味です。

この言葉が話題になったのはトランプ大統領の娘、イヴァンカ氏が理由でした。イヴァンカ氏は大統領に影響力を持っているとされています。それなのに大統領が女性や移民に対する差別的な政策を打ち出しても、止めたり批判したりしないことに多くの国民が怒っていました。それを受けて、アメリカの人気コメディー番組Saturday Night Live(SNL)がcomplicitという言葉を使ってイヴァンカ氏を風刺する作品を公開しました。翌日、complicitの検索件数が10,000%跳ね上がったそうです。

(⇧SNLの作品。スカーレト・ヨハンソンがイヴァンカ氏を演じ、香水のコマーシャルのようになっています)

その後、イヴァンカ氏はテレビ局のインタビューを受けてる最中、「あなたはcomplicitだと批判されていますが、それについてはどう思いますか?」と聞かれました。イヴァンカ氏は皮肉にも「Complicit であることが、いい流れを巻き起こしたいと願うことを意味するなら私はcomplicitです。」「Complicitであることが、何を意味するのか私はわかりません。」と微妙な答えしかできませんでした。Complicitの意味自体知らないことが明らかになり、さらに大きな話題になりました。

11月、イヴァンカ氏が来日したとき、日本のニュースでは「元モデルで、母親で、事業家で、大統領補佐官」として憧れの存在という角度からの報道が多かったように思います。たまたまイヴァンカ氏と遭遇した人がインタビューされていたときも、「美人だった」「スタイルがよかった」「会えて嬉しい」といった声がありました。イヴァンカ氏に対する意見はさまざまですが、美人だからとか有名だからと言った表面的な理由で話題にするのではなく、大統領補佐官としての言動に焦点を当ててほしかったです。メディアにも市民にも、物事を批判的に見る力、疑問を持ってその答えを追求する力がもっと必要なのだと思います。

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政治はつねに大きく動くものです。政治がニュースにならないことはありません。でも、今年は今までの政治とは全く違う体制が生まれたり、一般市民の中で粘り強い運動が生まれたり、特に激動の一年だったと思います。明日から始まる新しい一年は、2017年に経験したことがしっかりと活かされ、さらに発展することを願っています。私も精一杯頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。


斉藤のどか (Nodoka Saito)
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